災害大国といわれる日本。毎年のように地震や水害が各地を襲い、深刻なダメージをもたらしている。そうしたリスクを補う損害保険は、社会インフラとして大きな役割を担い続けてきた。しかし、災害が起きた後の補償だけでいいのか?そもそも損害保険は、10年後も人や社会のお役に立てるのか?そんな問題意識のもと、損保ジャパンでは「防災・減災」という観点で新たな取組みを始めている。入社5年目の若手ながら、ジョブ・チャレンジ制度を活用し、保険という領域に捉われない未知なるチャレンジに挑む一人が竹内だ。
「通常、自治体などから出される住民への避難指示は、気象予報をもとにしています。私たちは気象予報からさらに踏み込んだ地域の被害予測情報を、より長いリードタイムで提供することを目指します。例えば水害の予測ができれば余裕を持って効率的に住民を避難誘導することができます。自治体などが保有する都市および地形のデータや、当社が持つ過去の罹災データを活用し、他業種と連携しながら、防災・減災に役立つ商品・サービスをつくるのが私たちのミッションです」。
チームのなかで最年少となる竹内。彼の役割はマーケティング調査である。
「保険を通じてお付き合いのあるさまざまな企業に、訪問やオンラインを活用して防災に関するヒアリングをさせていただきます。まずは、ニーズや課題を探ることが目的です。しかし、まだ世の中にないサービスなので、課題やニーズも顕在化していない。そのあたりが難しいですね」と、壁にぶちあたっている様子。それでも、社会的使命の大きさが彼を突き動かしている。
「どうやって収益化するの?とよく聞かれるのですが、収益のスキームから考えても、人の役に立つ商品・サービスはつくれません。収益は一旦置いておき、まずは社会課題を解決するために何が必要か。そんな問いから防災・減災に役立つサービスを形にすることをチーム一丸となって考えています」。