人や社会のために
リスク管理部運用リスク管理グループ
2007年入社
安田 健造
これまでの経歴
社内のアクチュアリー育成プログラムに参加
社員の成長を強力にバックアップする、充実したアクチュアリー養成プログラム
確率論や統計学などを駆使して、将来のリスクや不確実性を評価する数理業務の専門職「アクチュアリー」。保険料の算出や新たな保険商品の開発、会社の収支・リスク管理など、保険会社の基盤をつくる極めて重要な役割を担うスペシャリストだ。損保ジャパンでは、このアクチュアリーを育成するための専用コースを設けている。安田健造も同コースから入社した一人だ。
「就職活動時に業界研究を行うなかでアクチュアリーの存在を知りました。大学時代は理系を専攻し、数理を勉強していたので、自分が培ってきた数学的な素養を仕事に直接役立てることができる。しかも、それがリスクを抱えた人々や社会のために貢献できることにとても魅力を感じました」と、入社当時を振り返る。
アクチュアリーになるには、資格試験に合格し日本アクチュアリー会の正会員になる必要がある。実は、この資格試験がかなりの難関。すべての科目に合格するまでに10年以上要する人もいるほどだ。
「当社のアクチュアリー養成プログラムは、非常に手厚いサポートで試験合格をバックアップしてくれます。例えば、年に3回ほど合宿研修※があり、同じ目標をもつ仲間とお互いに切磋琢磨して勉強することができます。資格試験の重要な要素である論文も、会社が独自に作成した課題が与えられ、自身の答案を社内にいるアクチュアリー正会員の方から添削していただけます。しかも、一つの論文に対して複数のアクチュアリーが多様な視点でレクチャーしてくれる。これほど、充実したサポートは他社にはないと思います」。
同じアクチュアリーを目指す同期たちとの研鑽と励まし合い、先輩アクチュアリーのサポートもあり、晴れてアクチュアリー正会員となった安田。入社当初から、アクチュアリーへの道筋が明るく照らされていたといえる。
※コロナ禍の現在は、集合研修の代わりに、会社業務として自宅学習する形式に変更しています。
たくさんの先輩や仲間に支えられ、国際資本規制というミッションに挑む
2013年に配属されたリスク管理部保険数理室では、アクチュアリーとして国際的な保険資本基準の開発に関わるという貴重な経験もした。
「銀行には、バーゼル規制のような国際的に活動する自己資本比率等に関する国際統一基準があります。保険会社にも、破綻を未然に防ぐために各国が定める資本規制(ソルベンシー規制)がありますが、国際的に統一された基準はありません。一方で、リーマンショック等の金融危機を契機に、グローバルに活動する保険会社を監督する仕組みの必要性が認識され、2013年に国際的な保険資本基準(ICS)の開発がスタートしました。開発には、監督当局だけでなく各国の保険会社も広く関わっており、そのなかで私も、基準の内容を議論する国際会議に出席する機会を得たのです」。
2017年、舞台はスイスのバーゼル。世界中から保険のスペシャリストが一堂に会し、日本からも金融庁、大手保険会社が顔を揃えた。損保ジャパンからは安田を含めて二人が参加。
「会議に出席する前は、当局の説明を聞いて不明点を質問する程度だと思っていたら、出席者同士が熱い議論を交わしていて驚きました。会議で発言したことが国際ルールに反映される可能性があるので、みんな自国に不利なルールにならないよう戦っていたのです。大変な舞台に立つことになったなと。とてつもないプレッシャーの中、日本の損保チームでも作戦会議を重ね、会議ではしっかりと主張することができました」。
このとき、若干32歳。背負いきれないほど大きなミッションを抱え、押しつぶされそうになりながら乗り越えることができた。その原動力は何だったのだろうか。
「当社から会議に出席したのは二人ですが、私たちを支えてくれたたくさんの先輩や仲間がいました。会議に向けての準備では、多くの先輩アクチュアリーにアドバイスを受け、さまざまな意見交換をしながら進めることができたのが大きな力となりました」そう語る彼の目は、自信に満ちあふれている。幾多の壁を乗り越えることでつくりあげた自分に対する信頼が宿っているかのようだ。
新人時代から裁量を与えられ、壁を乗り越えることで得た自信と成長
若くして大きなミッションを任され、たくさんの先輩や仲間に支えられながら壁を乗り越え、それが自信をつくっていく。長い歴史のなかで受け継がれた損保ジャパンの文化の一つといえる。安田も国際会議という大きな舞台に立つ以前の新人時代から、大きな仕事を任せられてきた。
「入社して最初に配属されたのは、情報セキュリティ部でした。当時、ファイル共有ソフトからの情報漏えいが大きな社会問題となっており、代理店を含めた社内のセキュリティを強化するというミッションが与えられました。そこで、パソコンにファイル共有ソフトが入っているかを検知する機能を当社の代理店システムに構築しようと奮起して、ファイル共有ソフトの仕組みから勉強し、1年以上もの歳月をかけて導入しました。あの達成感は忘れられません」。
このときを含め、大きな仕事を任せられたときは常に上司のサポートがあり、その都度良い出会いに恵まれたという。
「新人のときは、周囲の方々に教えられて成長するので、一つひとつの出会いがとても大切です。キャリアを通じて、本当に良い出会いがたくさんがありました。とくに影響を受けた上司には『相手の頭になって考える』ことの大切さを教わりました。何かを伝える際は、相手がどんな立場か、どのようなバックボーンを持っているかを常に念頭に置きなさいと。この教えは今でも思い返し、例えばメールを送るときも相手が詳しい人だったら内容をシンプルに、別の部署の人なら丁寧に説明するなど、しっかりと教えを守っています」。
これまでのキャリア形成は『登山』
今、次の山もはっきりと見えている
現在は、リスク管理部運用リスク管理グループで、SOMPOグループ全体のリスクと資本の管理、資産運用リスク計測のモデル開発・管理を担当。アクチュアリーとして一つ上の視点をもって業務を遂行している。
「資産運用のリスクを計測するためのモデルを開発・管理し、随時アップデートする業務です。そのモデルを使って会社全体のリスクを計測し、それに対して資本が十分に蓄えられているか、事業計画は妥当かどうか等をチェックする。経営層に近い視点が必要となる分、やりがいも大きいです。アクチュアリーというと保険商品の開発をイメージされる方が多いと思いますが、リスクをお引き受けすることが本業である保険会社にとって、リスク管理もとても重要な役割です」と、アクチュアリーの可能性を力説する。
新人時代から裁量を与えられ、自分の実力以上の課題に挑んできた。多くの先輩や仲間に助けられながら課題をクリアすることで、成長を続けてきた。そんな自身のキャリアを一言で表すと『登山』だという。さまざまな山々が連なる道。目の前の山を乗り越えることで自信と成長を獲得し、次のより高い山に挑戦する。そして、登山の道中には、いつもたくさんの上司や仲間がいて、ときに励まし合い寄り添いながらも自由なルートを自身の意志で選択させてくれる。
「今後は、アクチュアリーとして保険商品の開発に挑戦したい」という安田。次の山の全影が、はっきりと見えている。
ある1日の時間割
起床後、家族そろって朝食。
まずは今日のスケジュールを確認。この日はリスク計測から開始。
会議用と作業用でデバイスを使い分けています。
計測結果の分析を行い、報告書作成の準備をします。
会議資料作成を進めたり、外部の企業と業界共通のテーマについてオンラインで意見交換。終わったら議事録作成。
この日の業務は終了。テレワークの日は、仕事とプライベートのメリハリに気を付けています。
家族そろっての夕食の後、子供とゲーム。