SDGsの重要なテーマである自然災害。災害大国といわれる日本は、これまで多くの被害に見舞われてきた。インフラの老朽化が進み、台風による激しい風雨が落橋やがけ崩れを誘発するケースも増えており、対策が急務となっている。こうした社会課題の解決に向けて、損保ジャパンではICTセンシング技術を活用した自然災害における防災・減災サービスの共創を開始している。
「本プロジェクトは、災害発生前にインフラ損害などの予兆を把握し、事前対策についてのリスクマネジメントを行うことで事業の安定経営を支援するものです。
具体的には、ICTセンシング技術の活用により、台風や豪雨発生時にインフラ(のり面、急斜面、橋梁等)の損害状況や予兆を遠隔で管理・把握し、防災・減災に役立てる保険商品やサービスの開発を検討しています。土砂災害などによる被害を未然に防止し、人命を守るとともに、管理者側のさまざまな安全確保に関する業務の合理化を目指します。」と語るのは、プロジェクトリーダーの関口。
企業営業第六部エナジー室 2007年入社 関口
プロジェクトがスタートする一つの契機となったのが、神奈川県で起きた事故だ。
「マンション敷地の斜面が突如崩れ、下を歩いていた高校生が亡くなった痛ましい事故でした。崩落の予兆が事前に把握でき、適切な補強措置をとっていれば尊い人命が救えたかも知れない。ICTと保険を掛け合わせることで、これまで解決できなかった社会課題に挑戦したい。そんな思いが出発点でした」と関口が語る。
このサービスは、エネルギー会社などのインフラ企業や自治体など、多数の企業・団体が強い関心を示し、すでに多数の問い合わせが入っている。ICTセンシング技術をインフラ損害の予兆把握に活用する。この斬新な発想はどこから来たのだろうか。
「もともとは、スマートファクトリーで活用していた技術です。タービンなどにIoTセンサーを取り付けて、故障などのトラブルを事前に把握して対策費用を提供するスキーム。それをインフラに応用しました」と語るのは、関口とともにプロジェクトを牽引する松岡。一つの技術がどのような社会課題の解決につながるか。常にアンテナを張っていることが大切になる。
企業営業第六部エナジー室 2011年入社 松岡
「それとともに、複数のテクノロジーを複合的に組み合わせることも重要です。例えば、現在私が関わるプロジェクトでは、ICTセンシング技術で水害を予兆し、交通弱者の方を優先的に避難に導くスキームを研究中です」と松岡。複数の技術と保険を組み合わせることで、可能性は大きく広がっていく。こうした革新の芽は、社内に多数潜在しているのだ。