PROJECT STORY #03
SDGs達成への貢献を
使命として。
私たちの挑戦は、
終わることがない。

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の目標。地球温暖化による気候変動や経済格差による貧困問題、多発する大規模災害など、さまざまな社会課題の解決を目指して、世界中が尽力している。SDGs達成に向けて企業の役割が期待されているなか、いち早く多様な取組みを始めている損保ジャパン。保険会社として何ができるのか。熱い思いが息づくプロジェクトの一端を紹介する。

SPEAKER PROFILE

関口 直明
企業営業第六部エナジー室
2007年入社
関口 直明
齋藤 有希
企業営業第六部エナジー室
2007年入社
齋藤 有希
松岡 裕二
企業営業第六部エナジー室
2011年入社
松岡 裕二

ICTセンシング技術による
防災・減災サービス
保険と技術の掛け合わせで、
社会課題に挑む

SDGsの重要なテーマである自然災害。災害大国といわれる日本は、これまで多くの被害に見舞われてきた。インフラの老朽化が進み、台風による激しい風雨が落橋やがけ崩れを誘発するケースも増えており、対策が急務となっている。こうした社会課題の解決に向けて、損保ジャパンではICTセンシング技術を活用した自然災害における防災・減災サービスの共創を開始している。
「本プロジェクトは、災害発生前にインフラ損害などの予兆を把握し、事前対策についてのリスクマネジメントを行うことで事業の安定経営を支援するものです。
具体的には、ICTセンシング技術の活用により、台風や豪雨発生時にインフラ(のり面、急斜面、橋梁等)の損害状況や予兆を遠隔で管理・把握し、防災・減災に役立てる保険商品やサービスの開発を検討しています。土砂災害などによる被害を未然に防止し、人命を守るとともに、管理者側のさまざまな安全確保に関する業務の合理化を目指します。」と語るのは、プロジェクトリーダーの関口直明。

企業営業第六部エナジー室 2007年入社 関口 直明

プロジェクトがスタートする一つの契機となったのが、神奈川県で起きた事故だ。
「マンション敷地の斜面が突如崩れ、下を歩いていた高校生が亡くなった痛ましい事故でした。崩落の予兆が事前に把握でき、適切な補強措置をとっていれば尊い人命が救えたかも知れない。ICTと保険を掛け合わせることで、これまで解決できなかった社会課題に挑戦したい。そんな思いが出発点でした」と関口が語る。
このサービスは、エネルギー会社などのインフラ企業や自治体など、多数の企業・団体が強い関心を示し、すでに多数の問い合わせが入っている。ICTセンシング技術をインフラ損害の予兆把握に活用する。この斬新な発想はどこから来たのだろうか。
「もともとは、スマートファクトリーで活用していた技術です。タービンなどにIoTセンサーを取り付けて、故障などのトラブルを事前に把握して対策費用を提供するスキーム。それをインフラに応用しました」と語るのは、関口とともにプロジェクトを牽引する松岡 裕二。一つの技術がどのような社会課題の解決につながるか。常にアンテナを張っていることが大切になる。

企業営業第六部エナジー室 2011年入社 松岡 裕二

「それとともに、複数のテクノロジーを複合的に組み合わせることも重要です。例えば、現在私が関わるプロジェクトでは、ICTセンシング技術で水害を予兆し、交通弱者の方を優先的に避難に導くスキームを研究中です」と松岡。複数の技術と保険を組み合わせることで、可能性は大きく広がっていく。こうした革新の芽は、社内に多数潜在しているのだ。

『ONE SOMPO WIND
サービス』を通して
日本の洋上風力の普及に貢献
したい

再エネ海域利用法の改正により、これまで足踏み状態だった洋上風力がいよいよ動き出した。日本政府は、2040年までに4500万キロワットまで増やす計画を発表するなど、再生エネルギーの切り札として期待を寄せる。損保ジャパンでも、SDGsの達成に貢献する最右翼として洋上風力を見据えてきた。
「洋上風力の事業化を目指す企業や銀行、ベンダーなどのステークホルダーにプロジェクトを安心して運用いただくための保険を提供していきます。海という広大な資源をもつ日本で、事業としての運用が始まるわけですから期待は大きい」と松岡。関口も「陸上ですと風車を立てる場所が限られていますが、洋上は設置場所をどんどん広げることができ、四方を海に囲まれている日本は特に大きな可能性を秘めています」と話す。
実際に保険を提供するだけではなく、『ONE SOMPO WINDサービス』という損保ジャパンオリジナルのトータルサービスに言及するのが齋藤 有希だ。

企業営業第六部エナジー室 2007年入社 齋藤 有希

「当社とグループ会社のSOMPOリスクマネジメントが洋上風力発電事業者を対象に、建設作業から事業運営までのリスク評価と、リスクを包括的に補償する保険をセットで提供するのが『ONE SOMPO WINDサービス』です。リスク評価は、日本の洋上風力固有のリスクを評価するために東京大学と共同研究を行い、オリジナルのリスク評価モデルを開発しました。日本独自の自然災害の影響や電気的・機械的事故による物的損害と、事故・故障時の運転停止に起因する利益損失を作業船の傭船コストや海象条件による工期の遅れも考慮し、細かく確率的に定量評価することができます」。これにより事業者は、どこまで保険をかければいいか明確になるという。齋藤が続ける。
「将来的に洋上風力事業が立ち上がった際は、保険による巨額な補償が必要になる可能性があります。日本の保険会社が海外の再保険会社にリスクを分散するケースもあるでしょう。その時に明確なリスク評価がないと、日本の災害の多さが要因となり再保険への加入コストが上昇します。そうすると、洋上風力事業そのものがコスト高になり普及が遅れることになりかねません。日本の洋上風力の安全性を説得力のある形で示すことも当社の大切な役割です」。
また、国内の洋上風力を取り巻くリスクを包括的に補償する保険も用意している。
「設備の建設作業から完成後の事業運営に伴うリスクまでを対象に、設備の損害や建設作業中・事業運営中の事故、設備修理中の費用などを包括的に補償します」と、関口が話す。

共通の思いが領域を超えた
共創を生み、
プロジェクトの実現性を向上
させていく

ICTセンシング技術を活用した防災・減災サービス、洋上風力のリスク評価と包括保険をセットにした『ONE SOMPO WINDサービス』という代表的な取組みをクローズアップした。しかし、SDGsを見据えたプロジェクトは多数同時進行しており、絶えず企画提案を繰り返し、模索している。
「個別のお客さまを担当するメンバーがそれぞれプロジェクトを抱えています。例えば、石油・ガス開発事業など、既存エネルギー関連のお客さまは、脱炭素社会の実現に向けてビジネスの変革を余儀なくされています。そうした課題に対して、SDGsやCSR(環境事業)という文脈で新規事業を一緒に創出する取組みにもチャレンジしています。ビジネスのリスクを補償する保険商品やサービスの提案だけではなく、社会課題を解決するビジネスを一緒に考えていく。常に企画を出し続けると同時に、プロジェクトを実現するために不可欠なパートナー探しも行っています」と、齋藤はいう。
プロジェクトを実現するために、今や共創は欠かせない。その意義はどのような点にあるのだろう。関口がこう話す。
「各社のビジネスの領域や方向性の違いがあって、これまでは共創が難しい面がありました。しかし、社会課題の解決という共通の強い思いが、事業領域を超えた結束をつくるケースが急増しています。例えば、洋上風力が成功するかどうかが、日本の脱炭素社会の行方を左右する重要な分水嶺になると思っています。その使命の重さがやりがいになると同時に、共創の絆を強くしていく。常に主導的にSDGsというテーマを掲げ、私たちの思いに共鳴してくれる共創相手を探しています。もう一つ重要なのがダイバーシティの観点です。ダイバーシティは、社内だけでなく社外とのアライアンスにおいても重要です。お互いの強みをもち寄ることで、プロジェクトの実現性が大きく向上するからです。チーム内のミーティングでも、常に何を解決するのか、そのためにどんな企業とアライアンスを組むのか議論しています」。
持続可能な社会の実現へ、さまざまな事業を通して貢献していく。損保ジャパンの挑戦は、決して終わることがない。

※ 取材時点での所属部署を記載しております